松翁軒は天和元年(1681年)、江戸中期に山口屋貞助が創業。その後歴代、菓子づくり一筋に精進を重ねて340余年。長崎の歴史とともに歩んできた、カステラづくりの老舗です。
元亀二年(1571年)港町、長崎に初めてポルトガル人が上陸
遥か遠く西欧から交易を求め、初めてポルトガル人が上陸。
カステラの製法は、この時代に日本に伝わったと言われています。
天和元年(1681年)長崎市本大工町に初代山口屋貞助が店を構える
長崎市の本大工町に初代山口屋貞助が店を構え、カステラや砂糖漬けなどの製造を始めました。歴代菓子作り一筋に340余年を数える松翁軒の歴史は、ここが出発点となります。
寛政年間・五代目要次郎
ざぼん漬けの製法を習得して売り出し、また晩年には六代目幸次郎に寒菊の製法を伝えました。
文久年間・七代目熊吉
七代目当主熊吉はカステラの製造だけでなく、細工菓子の名人として世に知られていました。その見事な細工菓子を賞賛した国学者・中島広足の知遇を得て、現在の屋号「松翁軒」と能面の翁の商標が贈られました。
明治中期・八代目貞次郎「チョコラーテ」を創り出す
長崎菓子同業組合の組合長を務め、長崎カステラの普及に尽力した八代目貞次郎。
各種博覧会、共進会に私費を投じて出品する一方、家伝の製法と原料の探求に情熱を注ぎ、当時珍重されていたチョコレートを使った松翁軒オリジナルのカステラ「チョコラーテ」を創り出しました。伝統の味に新しい風味を加えたその味は、現在も多くのお客様にご愛顧いただいております。
明治三十三年(1900年)パリ
パリの大博覧会にカステラを出品して名誉大銀盃を受賞。続いてセントルイス万国大博覧会では、名誉大金牌を受賞。国内外の博覧会等で高い評価をいただいております。
平成六年(1994年)スペイン
ポルトガル人によって伝えられ長崎で育まれたカステラが、ほぼ450年の時を経て、スペインに里帰りしました。
日本の菓子として成長したカステラのレシピを、松翁軒がマドリードの菓子職人に直伝。ハポン(日本)のカステラとして新たな歩みを始めています。
平成八年(1996年)長崎
カステラの故郷・ポルトガルから、その美味しさに魅せられて、菓子職人パウロ=ドゥアルテさんが松翁軒を来訪。日本文化にも精通した彼は、三カ月の間、カステラ作りを現場で熱心に学びました。